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第96回新人漫画賞真島ヒロ先生、作品コメント完全版!!

第96回新人漫画賞の特別審査委員長・真島ヒロ先生からの全受賞作品に対する講評をここに大公開――!!

GIGS MECHANICAL芝間スグル(21)

真島先生のコメント

GIGS MECHANICAL

真島先生のコメント

独自の世界観がしっかりしているのは好感が持てた。特にワイルドをはじめとした機械の造形が素晴らしいと感じた。絵や構図も迫力があって良かったと思う。 だが、後半まで主人公が誰だかわからないのは気になった。(トキムネであってるのかな?)また、ラストのバトルはひとネタほしかった。 ただトキムネが強いってだけではちょっと肩透かしを食らった印象。トキムネの能力なり、ピンチから逆転するなりドラマの緩急がほしかった。 現状では「“命がけ”といって渋ってる敵に対して圧勝でした」という話に見えてしまう。敵のやっていることも設定に沿ってはいるが、バトルの舞台を作りました、 という風にも見える。せっかくのチームものなのでメンバーの特色を生かしたラストが見たかった。それと吹き出し内の字が汚い。読めなくて伝わらないのは不本意なはず。 どうせ写植になるからと手を抜かず綺麗に描こう。編集は最初の読者。

武器

・世界観・デザイン
・画力

弱点

・ストーリー・演出
・ネタ

痛みの代理人ハシモトマサヨシ(23)

真島先生のコメント

痛みの代理人

真島先生のコメント

すごい設定だと思った。なんとも奇妙で独創的な設定を見事描き切り、感動できる作品にしているのは驚いたし、感心した。人間の感情を上手に描ける才能があると思う。 本当にいい話で感動したし、セリフ選びもうまいなと思った。対して、絵は描き込みのすさまじいコマと手を抜いているコマが混在し安定感がない。 抜きのコマはあえて抜いているようにも見えるが、基本的に画面が暗い分、手抜きに見えてしまうのはもったいない。プロットの問題点は説明文が多いのに説明不足なところ。 特殊な設定なのは理解できるが、冒頭から世界観の説明を読者に読ませるのは得策ではない。また、"人外"の設定は完全に説明不足。 人が変化した姿なのか、俗にいう魔物的なものなのか、動物なのか、この世界での奴隷という言葉の意味は?痛覚は人より耐性があるのか?など、 大事なパーツであるはずの"人外"がどういう存在なのかわかりづらいのが残念だった。

武器

・設定・ストーリー
・センス

弱点

・画力
・世界観の伝わりづらさ

青を奏でるヤマガタアツカ(24)

真島先生のコメント

青を奏でる

真島先生のコメント

透き通るような綺麗な絵柄でさわやかな印象を受けた。テンポがよく、最後まで一気に読めた。音楽という難しいジャンルを表現する力は持っていると思うし、ヒロインのキャラ設定も可愛くていいと思う。 物語はやや起伏がなく最初の主人公の葛藤がなんだか簡単に解決してしまったように感じる。もう少し主人公がピンチ、または感情的に追いつめられるなりの状況に陥り、そこからの解決が見たかった。 主人公にもヒロインにもやさしいだけの世界で構成されていて、読んでいて感情を揺さぶられるような展開がなかったのは残念。 正解かどうかはおいといて、ライバル(適役?意地悪なキャラ?)等の配置は必要だったかもしれない。本来そこは主人公の母か父が担うのだが、現状物語にほぼ絡んでないのが残念。 ラストも気持ちのいい終わり方だが、前半にページを使いすぎて、一番の見せ場のライブシーンがあっさりしている。途中で終わってしまった印象。

武器

・テーマ・キャラ
・さわやか

弱点

・ストーリー・演出
・構成

コロッケパン戦記長田歩知(19)

真島先生のコメント

コロッケパン戦記

真島先生のコメント

たった一つのテーマで最後まで描き切ったのは見事。テンポがよくて一気に読めてしまうのは魅力。キャラの表情も緩急があっていいと思う。 問題は画力。迫力のある構図に画力が追い付いていない印象なので、絵の練習は必須課題。また、良くも悪くもプロットにひねりがなくて、正直50Pで見せる話には感じなかった。 30Pくらいの内容かと思う。50Pで描くなら、もうひとひねり展開がほしいと感じた。ラストの展開はとても気持ちがいいのだけど、24P~33P(保健室辺り)のシーンの感情や、 セリフ選びをもっと丁寧に描かないと、先輩がコロッケパンを速水の為に買うのは「速水が悪友にいじめられない為?(悪友にあげる用のパンを買うの?)」と誤読してしまう。 速水に食べてほしいから先輩は走るんだというのが、もっと伝われば良かったと思う。

武器

・設定・熱さ
・センス

弱点

・画力・構成力
・構図

サカサ奇譚サクマ(21)

真島先生のコメント

サカサ奇譚

真島先生のコメント

面白かった。嘘しか言わない少女の秘密がなんなのか? 事件の顛末がどうなるのか? ページをめくらせる力を持った作品。 まず、冒頭のつかみからキャラが強烈に立っていて引き込まれました。ラストの展開も、もうひと声ほしい感じもしたけど、概ね満足。絵柄もかわいい。 ただ、話のテンポや構成は上手な反面、物語の肝心なところ、クライマックスが少し食い足りない印象だった。それは少女が乗り越えるべきものを乗り越えずに解決してしまったからだと思う。 少し成長(進展?)したという描写はあるけど、少女はこのままウソをつき続けて生きていくのか? と思うと何も解決してない。 読み切りでは難しいかもしれないが、「もうウソをつくのはやめる」というシーンがほしかったかもしれない。それには委員長をもう少し悪者に徹してもらって 主人公や少女をもっとピンチに追いやる必要があったかもしれない。けれど、全体的な印象はとても良く、面白かったです。

武器

・設定・キャラ
・ストーリー・構成

弱点

・演出・ネタ
 

金星より!椿太郎(20)

真島先生のコメント

金星より!

真島先生のコメント

最後まで飽きることなく楽しかった。意外な展開、意外なセリフのオンパレードで、全く先の展開が読めない面白さがあった。 ギャグシーンも全部面白くて、読んでて笑ってしまった。画力も非常に高く、読者を意識したコマ割り、構図など、とてもハイレベル。 キャラの表情も豊富で面白い。キャラ設定も主人公の巻き込まれ型の感じと、金星人のめちゃくちゃなキャラ付けがいい具合にマッチしている。 コメディにしてはややセリフ量が多いかな? と感じたが一気に読ませるだけのセンスがあると思う。この若さでこの才能には恐れ入る。 あえてマイナスをあげるならラスト1ページ、オチにしては情報量が多すぎる。同じ内容を2ページにわけるか、情報量を整理しても良かったと思う。 あとちょくちょく出てくるお母さんの話の着地点がわからなかった。しかし、そんな事はどうでもよくなるくらい完成度が高い。次回作が楽しみな作家です。というか、早く連載が読みたい。

武器

・ギャグセンス・画力
・女の子
・エロ
・テンション

弱点

・セリフ量
 
 

ニジイロセカイ色意しのぶ(21)

真島先生のコメント

ニジイロセカイ

真島先生のコメント

最初から最後まで面白かった。ほぼ会話劇なのに最後まで飽きさせないのは構成の上手さだと思う。作画、構成、演出すべてがハイレベル。 キャラの表情はいいし、背景、描き文字も丁寧に描かれていて好感がもてる。眼鏡などの物語のキーアイテムのデザインもしっかりしている。 凄い! テーマをたったひとつに絞り、見事に描き切っており、49Pの中に主人公の成長も描かれていて、読後の気持ち良さと満足度が高かった。 特に主人公の泣き崩れるまでのタメが上手で、泣き崩れるシーンでぐっと引き込まれた。あえて欠点をあげれば、キャラの顔以外の絵(体形、引きの絵等)が若干ザツになりがち。 他がハイレベルな分、あまり気にならないけどもったいない。欲を言えば眼鏡店のおじいちゃんが何者なのか知りたかった。しかしあえて描かないという演出もわかる。 この辺は好みかもしれない。でも、やっぱり本当に面白かった。

武器

・演出・画力
・テーマ

弱点

・少年漫画らしさ
(雑誌によっては必要ない)

NIVOSE桂木(19)

NIVOSE

真島先生のコメント

まず、若いのに絵がうまい。特に人物の表情なんかはすごく上手。最後の最後に見せるニヴォーズ(ヒロイン)の照れ顔なんかは最高に良かった。 お互いに主張をぶつけるシーンも熱気があって良かった。問題は構成力と演出。この作品は自分の描きたいもの、描きたいシーンだけを描いたという印象が強い。 シーン同士のつながりをあまり感じないし、唐突な展開が多い。崖のシーンでは主人公を刺した男がなぜあの場にいたのか不明。つけてきたのか?(死んだとおもってたのに?)たまたまなのか? バスジャック犯だと誤読する読者もいるだろう。そして崖から落ちたあと、犯人はどうなったのか全く描写されないのも不親切。もうひとつの問題、ニヴォーズのキャラがつかみづらかった。 一見キャラが立ってるようで、目的がわからない。セリフの意図がわからないシーンが多すぎた。自分の描きたいものを読者に伝えるにはもっと研究が必要。

武器

・画力・熱気
 

弱点

・構成力・演出・キャラ
・設定

ふれあい神山彩(20)

ふれあい

真島先生のコメント

ひたすらに明るくて健気な桜川が最後まで可愛らしかった。画力も高くて安定感がある。この若さでは特筆できる点だと思った。話のテンポもよく、物語の緩急の付け方も上手。 ヒロインが可愛くて好感度が高い反面、主人公の好感度が最後まで低かった。潔癖症というのは面白い設定だと思うが、設定が先行しすぎてキャラに感情移入するのが難しい。 こんな自分を変えたいと思っているなり、桜川には悪いと思っているなり、読者を納得させるだけの特別感がほしかった。 主人公にとっては当たり前の事でも、読者にとっては可愛らしいヒロインに暴言を吐くだけでは、主人公にヘイトが向いてしまう。 ラストの主人公の謝るシーンはいいシーンなんだけど、それは一喝したことへの謝罪であって、それまでの「汚い」などの暴言がすべて許されてしまうのは都合が良すぎかもしれない。 さも意味ありげに登場した母との関係も消化不足に感じた。

武器

・画力・キャラ
・構成

弱点

・ストーリー・モラル
・設定

俺〈オレ〉土田(24)

俺〈オレ〉

真島先生のコメント

少ない登場人物で伝えたいテーマをシンプルに伝えてくる構成は素晴らしい。作品に勢いがあって、迫力のある絵もいくつもあり、 ラストの「好きと死ね…」のくだりは新人とは思えないネームのセンスを感じる。反面、画力は圧倒的に不足している。同じページ、見開き単位でのキャラの絵が統一されておらず、違和感がある。 パースも勉強不足。ダイナミックなパースを多用したいなら、まずは基本のパースを覚えないと、感動的なシーンが不安をあおるシーンに感じてしまう。 描き文字もザツなので、音楽の表現が中途半端になっている。美しい音色なのか、荒々しい音色なのかわからないのは、音楽を伝える表現としてはマズイ事だと思う。

武器

・テーマ・熱さ
・セリフ選び

弱点

・画力・描き文字
・丁寧さ

死ヲノゾク須田竣太(19)

死ヲノゾク

真島先生のコメント

物語の構成は上手。絵もこの若さでここまで描ければ、この先もっと上手くなってとんでもない画力になりそうな期待感はある。 独特のコマを送るセンスもいいと思う。ネタも上手に生かしていて感心した。ただ、ひたすら暗い。少年誌の漫画というよりは青年誌の漫画。 ネタや主人公の死が悪いわけではなく、救いがないのが問題。主人公に「逃げて」と言われた後のヒロインの姿がひとコマもないのも救いがない。 せめて主人公によって命を救われたヒロインの無事な姿、または主人公をねぎらう言葉がほしい。画力は高いと思うが、キャラの表情は描けていない。 そのため、キャラが終始無表情の印象を受け、感情が伝わりづらい。ラストシーン、「笑ってる」というセリフがあるが、表情が見えないせいで伝わらないのはもったいない。

武器

・設定・独自性
・構成

弱点

・画力・演出・テーマ
・少年漫画らしさ

朝の教室ゆきみだいふく(19)

朝の教室

真島先生のコメント

教室での会話劇という、たったひとつのシチュエーションで、ドキドキしたり、ほっこりしたりといろんな感情を楽しませてもらった。 この若さで漫画づくりの基本ができているのはすごいと思った。ページが短いのも読みやすくて良かった。若い作者らしく学校でのひとコマひとコマに妙な懐かしさとリアリティがある。 画力はまだまだ。私が同じ歳だった時の画力に比べれば上手だが、もっと読者に読んでもらう事を意識して丁寧に描いてほしい。 特に枠線、効果線、吹き出し、描き文字。直接物語には関係ないように思えるかもしれないが、プロは細かいところも丁寧に描きます。 加えて、ストーリーにも、もう少しひねりがほしかった。どこかひとつでも意外な展開があれば、ハッピーエンドが決まってる作品でも、もっとドキドキしながら読めると思う。

武器

・テーマ・学園もの
 

弱点

・画力・構成
・ストーリー

記憶商売浜崎はむ(23)

記憶商売

真島先生のコメント

よくまとまったいい話だなぁと思った。ネタも十分に生かしてたし、なにより忍というキャラが可愛らしかった。所々ハッとするような絵、シーンがあり、感心しながら読みました。 特にラスト、数年後に客が来るシーン。もしかしたらお母さんかもしれないという期待が高まるのは、時間経過によりリアリティさが増しているから。 結果を見せないのもいい余韻を残していると思う。絵も上手でキャラの表情も生き生きとしていた。惜しいと思ったことは構図、パースなど。 まだ理解度が足りなく、7p2コマ目は壁を忍のパースにあわせるべき。43~44のアクションシーンも構図を含め迫力不足。ここをもっと力ある絵にできれば作品のクオリティは更に上がった。 それと全体的に吹き出しの形がザツ。プロは吹き出し、描き文字も絵の一部という認識をもっている。もったいない。最後にモブの造形がモブすぎるのも指摘しておこう。

武器

・ストーリー・キャラ
・演出・絵柄

弱点

・画力・丁寧さ
 

永久浪漫譚川崎命大(28)

永久浪漫譚

真島先生のコメント

画力があって見やすい絵には好感がもてる。不死者の学校だとわかるインパクトはハッとするくらい迫力があって良かった。不死者の通う学校という設定も目新しくて良かったと思う。 ただ、設定とテーマが少しミスマッチな感じがした。不死者たちと主人公の感覚のズレみたいな部分は感じることができたが、 不死者(巴)と守一のこの先どうやっても一緒になれないかもしれない悲しみとか、それを乗り越える二人が見たかったかもしれない。 設定は思いついたけど、それを生かす作りこみが甘い。ラスト、巴の為に戦う守一が「この覚悟は命を賭ける事のできない不死者(おまえ)には、絶対に殺せない」と敵に言い放つシーン。 とてもいいセリフなんだけど、全校生徒、ヒロインをもディスっているように聞こえてしまうセリフでギャラリーが「ワーーー」と盛り上がるなど、細部の配慮が足りてない。惜しいです。

武器

・画力・設定・テンポ
 

弱点

・テーマ・整合性
・ストーリー

銀閃花眠田瞼(28)

銀閃花

真島先生のコメント

ほのぼのとした作風とストーリーは読んでて気持ちがいいです。読後感も良かった。言いたくないセリフを言わせる時に操り人形を演出に使うのも面白かった。 ただ、主人公が後半まで受動的すぎて、いまいち感情移入しづらい。ただでさえ醜い男という設定は読者を引き付けるのが難しいキャラなので、ここは最大限の工夫をして、読者を引き付ける仕掛けが必要。 金の亡者のブサイクだが、実はやさしい、喧嘩が強い、口が達者など、主人公に弱点は必要だが、このままでは弱点ばかりが目立って魅力を感じないキャラになってしまう。 ストーリーも気持ちのいい話だが、単純で展開が予想できてしまう。もっとひねりを加えるか、単純なりに説得力のある構成が必要。全体的に行き当たりばったりでキャラが動いてる印象を受ける。 画力はいい表情が描けてるシーンもあるし、描き込みが多いのは評価できるけど、クオリティにバラつきがあり、それが見づらい印象を与えている。

武器

・ストーリー・演出
・設定

弱点

・キャラ・構成力
・画力

魔軍師カイル桜井新(22)

魔軍師カイル

真島先生のコメント

各キャラクターの造形や舞台設定等はこだわりをもって描いてる感じが出てて良かった。テーマも悪くはない。構成や演出はまだまだ勉強不足。今なぜこうなっているのかがわかりづらい。 主人公がほとんど活躍しないのも読み切りとしてはマイナス。まるで連載の10話目くらいを読んでる感じ。ありがちだが、魔王が捕まり、主人公が助けに行く話のほうが良かったかもしれない。 魔王が助けに来るというシーンを生かしたいなら、もっと主人公との間に溝があったり、それなりのドラマがほしかった。 主人公のキメのシーンも伝わりづらく、もっとハッタリをきかせてケレンミをもたせないとこのキャラは立ってこない。一番損をしているのはタイトル。 タイトルから連想するのはカイルが誰にも思いつかないような戦略で勝利する話、または作品全体にかかわるトリック等、カイルってすげーっていうのを期待してしまう。それは達成できてなかった。

武器

・世界観・デザイン
 

弱点

・ストーリー・構成
・演出・キャラ

ゼロ佐藤勇(25)

ゼロ

真島先生のコメント

すさまじい画力、画面の迫力に圧倒された。こだわりが見える構図にもすごくセンスを感じる。特にメカデザインは本当に好きで描いてるな。と感心しました。 プロットも意外性があり、読後感は良かった。最後まで読めば話に納得もするし、主人公も好きになれるのだけど、冒頭からの主人公の好感度が低すぎるのはもっと工夫しなければいけない。 主人公も博士も最初、戦っている理由がよくわからないので、誰に感情移入して読んでいいのかわからない。主人公のキャラデザインはもったいない。 どこかで見たことのあるロボットの少年とそれを作った博士は、アトムと御茶ノ水博士を連想してしまう。パロディなのか偶然か狙ったのかわからないが、もっとオリジナリティが出せる作家だと思う。 やはり冒頭の好感度の低さが尾を引いていてラストの感動的なシーンに入り込めない読者もいるかもしれない。

武器

・画力・テーマ
・ストーリー

弱点

・主人公(設定やデザイン含む)・構成

アナガリス髙田(25)

アナガリス

真島先生のコメント

面白かった。絵も綺麗で見やすい。全体的な絵作りが丁寧で好感がもてます。少女の秘密は予想外で結構ビックリした。ぬいぐるみのかわいらしさもあって、ほんわかした作品になってます。 ただ、構成や演出は勉強しなければいけない。プリティーベアをひろって…というつかみは良かったと思うが、1P目、導入部にしては見づらいです。 あとは少女の秘密がわかるくだり、驚いたのだけれど、説明不足。情報、状況の整理がつかないまま主人公の回想へ飛ぶのでさらに混乱する。 もっと言えば腕がとれてしまうシーンも丁寧に描く必要があった。(なぜとれたのか)それから少女が人形であったという説明。(秘密にしてたわりには得意げに説明してたのも気になった) 主人公のリアクション。もっと激しく驚くなり、読者と同じ反応がほしかった。このシーンが当たり前のように流れてしまうのは、せっかくのサプライズが機能しなくてもったいない。

武器

・画力・ストーリー
・構成

弱点

・演出
 

七三メガネをリスペクト広純月哉(19)

七三メガネをリスペクト

真島先生のコメント

主人公の見た目に反して毒舌で強いという設定は良かった。それぞれのキャラも立っていて読んでていて楽しかったです。 ただ、主人公の強さの秘密が謎のまま終わってしまったので、説得力に欠けると思いました。展開自体は悪くないのだけど、それぞれのキャラの「目的」が明確ではないシーンが多い。 まず主人公、勉強を頑張ってどうしたいのか? 桜、彼が一番主人公ぽい。彼目線の物語なら違う読み味になったかもしれない。 姉、自分の弟を平然と折檻する説得力がないため、ラストでデレるシーンが生きてないのはもったいない。後は絵を丁寧に描いたほうがいい。 描き文字、構図等、画面が見にくく、せっかくのアクションシーンも迫力が伝わってこない。人物を描くのは上手だけど、背景がザツ。 12Pの廊下のカットはキャラが廊下のはじを歩いてる不自然さに気づく“目”を鍛えなければいけない。

武器

・キャラ・表情
・設定
 

弱点

・ストーリー・構成
・アクションシーン
・演出

Classic維祈響起(22)

Classic

真島先生のコメント

心が温まるストーリーは素直に良かった。キャラクターの表情も上手に描けていて感情面の演出は上手だと思う。画力は勉強不足。味がある絵とザツな絵は違う。 このタッチを継承しつつ、進化させてほしいとは思うけど、丁寧に描かないが故に、読者に伝えるべきものが伝わらないのはもったいないと思う。 例えば描き文字、吹き出し、枠線など、読者に読んでもらうということを意識していない独りよがりな印象を受ける。最後、敵との決着がついたあたりの演出はわかりづらかった。 倒したのか? 木になったのか? 木に倒されたのか? 大事なシーンなので丁寧に演出するべき。あと、ウサギ=母は最初からバレバレなので、サプライズにするならもう少しカモフラージュに力を入れるべき。 サプライズにしないにしても、ウサギである意味とか、母が登場した時に、読者に「なるほどね」と言わせたい。

武器

・ストーリー・表情
・独創性

弱点

・画力・演出
・丁寧さ

エクストラステージ柳野まりあ(20)

エクストラステージ

真島先生のコメント

作品全体から伝わってくるほんわかした空気感は好感がもてる。あき助が崖から落ちるシーンはハッタリがきいてていい絵だった。 「これ、手つかめないだろう!」と思ったが、漫画ならではのウソ。いいハッタリ。画力はまだまだ。伸びるとは思う。問題はストーリー。 読みやすいのだけど、構成力、プロットの掘り下げが甘い。あき助の墓は誰の墓だったのか? 最後のハッピーバースディの意味、主人公はどう成長したのか? どのように考え方が変わったのか? 読後に疑問が残りすっきりしない。ギターの少年は唯一救われた感があるが、実はこの物語に必要性を感じない。 あき助と主人公の二人旅にして、互いに成長する話のほうが良かったかもしれない。動画配信のネタも若い読者には通じるかもしれないが、一般的にはまだまだ浸透していないコンテンツ。 もう少し丁寧に描いてもよかった(説明文にならないように)。

武器

・世界観・キャラの表情
 

弱点

・ストーリー・キャラ
・テーマ・演出

食虫少女げたもゆ(22)

食虫少女

真島先生のコメント

見たこともない斬新な設定が光る作品。かわいらしさと不気味さが織りなす不思議な話。ヒロインはキャラが立ってていいと思う。何気ない食虫植物のうんちくなんかも面白かった。 残念なのは、青春ほのぼの系なのかギャグ漫画なのか中途半端なところ。ほのぼの系にしてはネタがグロイけど、それは置いといて、もっと設定を生かしたエピソードを見たかった。 ギャグとしてはパンチが弱い。それとオチがついてるようでついてないのも残念です。ページの短さもあるけど、これから物語が展開していくのかな?というところで終わってしまった印象です。 あと、画力も勉強不足。ショート漫画といえど、もう少し画力はほしい。面白い設定をつくる力は感じるので、次の作品に期待したい。

武器

・設定・キャラ
 

弱点

・構成・画力
・コメディ要素

マイ・フェア・マイティ嘉木しょう(19)

マイ・フェア・マイティ

真島先生のコメント

主人公もヒロインも好感がもてるキャラで読んでいてほっこりします。特にヒロインはとても可愛らしい。造形や仕草もグッド。物語は単純な話ながらも起承転結がキレイにまとまっていると思う。 気になったのは背景の手抜き具合。確かに大事なのはキャラであって背景ではないが、ザツに描いていいというわけではない。抜くコマも大事だけど、背景はパースを含め猛勉強が必要。 キャラは上手に描けているので、その気になれば背景も上手に描けるはず。それと起承転結はできているが、物語の展開自体は普通。前半の起、承まではよかったが、 後半に物語の魅力が失速してる印象を受ける。その原因は爺さんの存在がバレバレなのもあるが、バトルのピンチをしっかり描いてない事と、敵を倒すアイデアが煮詰め切れていない事。 意地悪な読み方をすれば、ヒーローモノかな?と期待させておいて、力がなくても怪人は倒せるんだよ、という、人によっては肩透かしの展開に見えてしまうかもしれない。

武器

・キャラ・女の子
・構成力

弱点

・画力・設定、テーマ
・演出

Judgementbiki(25) 佐久間(20)

Judgement

真島先生のコメント

構成力が見事で物語にグイグイ引き込まれる。次の展開がわからずページをめくるのがドキドキした。ネームも切れていて独特のセンスを感じる。キャラの設定も面白く、最後まで楽しめた。 作画に関しては、若さを加味すれば十分合格点。今すぐプロで通用するかは疑問だが、構図や演出は上手。まだまだ伸びると思う。ひとつ気になったのは、細かい設定の作りこみ不足。 藤田ほどの大物が金目当てでやってきた得体の知れない料理人に出された料理を毒見せずに口にいれるのか?とか、ミッシェルの催眠は周りの黒服にはどう映っていたのか?とか、 蓮の暗示?はミッシェルの能力とかぶってないか?など、それぞれの特殊能力がわかりづらかった。ネタばらしが全部の出来事の後なので、クライマックスのカタルシスが薄い。 もう少し工夫を。全体的には面白かったが、少年誌という事を意識し、差別的なネームは控えよう。

武器

・構成力・演出
・キャラ

弱点

・ネタ・テーマ
・少年漫画らしさ

交換留学生A赤瀬冬馬(24)

交換留学生A

真島先生のコメント

モテない男子の夢をかなえるような話。読んでて漫画っていいよなーって思える素敵なお話だと思った。アリスの造形も可愛い。しかし、話の展開はやや乱暴に感じた。 もう少し、主人公にアリスが惹かれる何かがほしかったと思う。今の描き方だと、特に悩みもなく苦労もしていない主人公の前に突然美女があらわれ、特に努力もなくいい感じになりました、と見える。 奥手な友達二人が奥手じゃなかったら、そっちになびいてもおかしくない作り。=(イコール)アリスはあの3人の誰とでも良かったのかな?とか思ってしまう。 主人公は、恋愛に奥手だとしてもアリスとうまくいってほしいと応援できる(または読者が自分を投影できる)キャラ設定にしたい。 例えば、日本になじめないアリスに主人公が勇気を出して話しかけるとか、主人公の好きなアニメのセリフがアリスに届いたとか、アリスは主人公のやさしい一面を見ていた、とかなんでもいい。 流されるままに恋愛が成就する物語ではドキドキできないのです。

武器

・女の子・テーマ
 

弱点

・ストーリー・演出
・キャラ

ステージの向こう側丹下開登(24)

ステージの向こう側

真島先生のコメント

ファミレスでの日記の演出はベタだけどグッとくるものがあった。そのあと高木がかおるの為に怒るシーンも本当に良かった。この作品で一番感情が動かされたシーン。 たったひとつでも感情を動かすシーンが読後に残るという事は大切な事だと思う。反面、全体的に読みづらい。まず冒頭、誰の視点で読んでいいのかわからない。高木とかおるの性別もわかりづらい。 高木はビジュアル的に女性に見えなかったし、かおるは”僕っ娘”にする必要性を感じない。メインのキャラが性別不明でモヤモヤしてしまう。 かおるをプロデュースするという話も唐突。不自然さを感じたまま読んでしまう。あとOFFセリフが多く、誰がしゃべっているセリフなのかもわかりづらい。 後半の展開は見事だったが、前半を面白く作らないと読者はそこで読むのをやめてしまう。次は読みやすさを意識して作品を作ってほしい。

武器

・演出・シーン
・絵柄

弱点

・構成・ストーリー
・読みやすさ

真島ヒロ賞について

『金星より』に決めました。ハイセンスなギャグがとにかく面白かった。
私的には一番読者を意識して作られてる作品に感じた。なにより、一番続きが見たいと思った作品が『金星より』でした。

迷ったのが『ニジイロセカイ』こちらも面白かった。完成度が高いと感じた。
入選の『GIGS MECHANICAL』もレベルは非常に高い。読者目線をもっと意識できれば即戦力だと思う。

「金星より!」

総評

面白い作品が多くて、選考は楽しかったです。珍しくスポーツものが少なかったけど、ジャンルはそんなに偏ってる印象はなく、バラエティに富んでいたと思います。 それと、若い人が多かったのは素晴らしい事だと思いました。全体的に絵のレベルは、私が新人だった頃に比べて格段に上がってると思いました。

確かに即戦力という画力の新人は少なかったですが、私のデビュー時に比べれば、全員当時の私より絵は上手です。そんな私ですが、17年間プロとしてやってきたわけで、 僭越ながら当時の、または今の自分を思いっきり高い棚に上げて選評させてもらいました。

絵のレベルは年々高くなっている傾向にありますが、やはり設定先行型の作品は多い印象でした。 面白い設定を思いついたのだけどうまく料理できてないという感じですかね。それと良くも悪くも「描きたいもの(シーン)だけを詰め込みました」とい印象の作品も多かった。ただ、これは一概に悪いとはいえないです。 特に、新人のうちは描きたいものを思いっきり全力で描くというのは大切な事です。しかし「読者に読んでもらうんだ!」というプロ思考を感じられる作品は少なかった。 読者を意識した作品は、自分の作品がたくさんの人に読まれることを想定して(計算されて)描かれています。非常に読みやすいです。“プロ意識”、新人から一歩先に進むために大切な事です。

最後に、これは時代の流れかもしれませんが、少年マガジンらしい熱い話も少なかったですね。もっと主人公が泥まみれになりながら何かを達成するような熱い漫画も読みたかったです。

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